皆さん、こんにちは!
MLBのニュースを見ていると、「〇〇選手がチームからDFAされた」という言葉を耳にすることがあります。これは、“Designated for Assignment” の略で、日本語では「指名割り当て」と訳されますが、実質的には「40人枠からの除外」を意味する、非常に重要な手続きです。
「IL(故障者リスト)」が怪我による一時的な離脱だったのに対し、この「DFA」は、より選手の将来に大きく関わる、シビアな一手となります。その仕組みを詳しく見ていきましょう。
※「IL(故障者リスト)」についてはこちらの記事で解説しています。
1. なぜ「DFA」は行われるのか?
全てのMLB球団は、メジャー契約を結べる選手の上限である「40人枠」を持っています。 しかし、FAで新しい選手を獲得したり、マイナーから有望な若手を昇格させたい場合など、この40人枠に空きがない状況が生まれます。
その40人枠を空けるために、既存の選手を枠から外す手続き、それがDFAです。 つまり、DFAは「君を40人枠から外すことに決めた」という、球団から選手への意思表示です。
2. 「運命の7日間」DFAされた選手のその後
選手がDFAされると、球団は7日間(DFA期間)のうちに、その選手の処遇を以下のいずれかから決定しなければなりません。選手はこの間、試合に出ることはできず、まさに”宙ぶらりん”の状態で運命を待ちます。
選択肢①:トレード
- 他の球団との間で、その選手を交換要員とするトレードを模索します。DFAされた選手に興味を持つ球団が現れれば、トレードが成立します。
選択肢②:ウェーバー公示
- これが最も一般的な流れです。選手を「ウェーバー」という掲示板のようなものに公示し、「この選手に興味がある球団はありますか?」と全29球団に問いかけます。
- 【獲得希望球団がいた場合】
- 複数の球団が手を挙げた場合は、その時点での勝率が低いチーム(弱いチーム)が優先的に選手を獲得できます。獲得した球団は、その選手の契約を引き継ぎます。
- 【獲得希望球団がいなかった場合】
- どの球団も興味を示さなかった場合、選手は「ウェーバーを通過した」ことになり、元の球団は次の選択肢に進みます。
選択肢③:自由契約
- 球団が選手を完全に放出し、自由契約(FA)にすることです。選手はどの球団とも自由に交渉できるようになります。
3. ウェーバー通過後の最終的な処遇
運悪く、どの球団からも声がかからずウェーバーを通過してしまった場合、元の球団は最終的に以下のどちらかを決定します。
- マイナーリーグへの降格
- 選手を40人枠から外し、傘下のマイナーリーグの選手として再契約します。ただし、メジャー経験が3年以上ある選手などは、これを拒否してFAになる権利を持っています。
- 自由契約
- 選手を完全にチームから放出します。
まとめ:非情だが、リーグを活性化させる仕組み
DFAは、選手にとってはキャリアを左右する非常に厳しい通告です。しかし、この制度があるからこそ、MLBの各チームは常にロースターの最適化を図ることができ、リーグ全体の競争力と流動性が保たれています。
「DFA」という言葉の裏側にある、選手の運命と球団の戦略。これを知ることで、一見地味に見えるオフシーズンの選手動向ニュースも、手に汗握る頭脳戦として楽しむことができるようになるはずです。
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