皆さん、こんにちは!
野球選手が目指す個人タイトルの中で、最も名誉があり、最も価値が高いとされる賞、それが「MVP(Most Valuable Player)」です。日本語では「最優秀選手」と訳されます。
ホームラン王や首位打者とは異なり、MVPは単純な成績のNo.1を決める賞ではありません。では、一体どのような選手が選ばれるのでしょうか? 今回は、その少し曖昧で奥が深い、MVPの選考基準と歴史について解説していきます。
1. MVPの基本情報
- 選出人数: アメリカン・リーグとナショナル・リーグから、それぞれ1名ずつが選出されます。
- 選ぶ人: 全米野球記者協会(BBWAA)に所属する、各リーグ30名の記者による投票で決定されます。
- 発表時期: ワールドシリーズが終了した後の、11月中旬頃に発表されるのが通例です。
2. 最も重要で、最も曖昧な選考基準「価値」とは?
MVPの選考で最も面白いのは、「何をもってMost Valuable(最も価値がある)とするか」という明確な定義がないことです。そのため、毎年記者やファンの間で、誰がふさわしいかの大論争が巻き起こります。
投票する記者が重視するポイントは、主に以下の2つの考え方に分かれます。
考え方①:「最高の選手」= MVP
その年に、リーグで純粋に最も優れた成績を残した選手がMVPにふさわしい、という考え方です。 この場合、チームが弱く、ポストシーズンに進出できなかったとしても、個人の成績が歴史的に突出していれば選ばれることがあります。 (例:エンゼルス時代のマイク・トラウト選手や大谷翔平選手)
考え方②:「チームへの貢献度」= MVP
個人の成績もさることながら、その選手がいなければチームはポストシーズンに進出できなかったであろう、というチームへの貢献度を最も重視する考え方です。 この場合、強いチームの中心選手が選ばれる傾向が強くなります。
3. 現代のMVP選考で重視される指標
かつては「打率・本塁打・打点」や「勝利数・防御率」といった伝統的な成績が重視されていました。 しかし、近年では、このブログでも解説した「WAR」や「wRC+」といった、より総合的な貢献度を示す指標が、記者の間で非常に重要な判断材料となっています。
- WAR: 投打走守すべてを統合し、選手の勝利への貢献度を示す。まさに「価値」を測るのに最適な指標。
- wRC+: 球場やリーグのレベルを補正し、打者の純粋な得点創出能力を示す。
これらの指標が登場したことで、MVPの議論はより深く、面白いものになりました。
4. 日本人選手のMVP受賞者
長いMLBの歴史の中で、MVPの栄冠に輝いた日本人選手は2人だけです。
- イチロー(2001年 / マリナーズ)
- メジャー移籍1年目にして、首位打者と盗塁王を獲得。チームを牽引し、シーズン116勝という歴史的な快挙に貢献。新人王とMVPを同時受賞するという、離れ業をやってのけました。
- 大谷 翔平(2021年、2023年 / エンゼルス、2024 / ドジャース)
- 投打の二刀流で、野球の常識を覆す圧倒的なパフォーマンスを披露。2回とも、投票した記者全員が1位票を入れる「満票」での選出という、歴史的な評価を受けました。
まとめ
MVPは、その時代の野球を象徴する選手が誰であったかを物語る、非常に特別な賞です。 単純な成績だけでなく、「その選手がチームにどれだけの”価値”をもたらしたか?」という視点でシーズンを見てみると、選手一人ひとりのプレーがまた違った輝きを放ち始めます。
ぜひ、あなたも「今年のMVPは誰がふさわしいか?」を考えながら、シーズン終盤の戦いを楽しんでみてください!
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