こんにちは!MLBをこれから楽しもうとしているみなさん、いきなりですが「OPS」って聞いたことありますか?
最近よく聞くけど、意味までは分からない…という人、結構多いと思います。
この記事では、MLBやプロ野球でよく使われる「OPS」という指標についてわかりやすく解説していきます。
OPSって何の略?
OPSは「On-base Plus Slugging」の略で、以下の二つの数字を足し算したものです。
・出塁率(OBP:On-Base Percentage)
・長打率(SLG:Slugging Percentage)
つまりこういう計算式
OPS=出塁率+長打率
この「出塁する能力」と「長打を打つ能力」をかけ合わせることで、打者がどれだけ得点チャンスを生み出せるかが一目でわかる、というわけです。これを知っているだけで、野球観戦がもっと深くなりますよ!
出塁率と長打率ってなに?
出塁率(OBP)
読んで字のごとく、「どれだけ塁に出たか」を表す指標です。
ヒットだけでなく、四球や死球も含まれるのがポイント!
計算式:
出塁率(OBP)=(安打+四球+死球)÷(打数+四球+死球+犠飛)
※犠打(バント)は除かれます!
ヒットはもちろん、粘って選んだ四球や、体にボールが当たってでも塁に出ようとする死球(デッドボール)も加えます。まさに「どんな形であれ、塁に出た」回数を評価しているわけですね。
▼こんな時にチェック!
・ この選手はチームのチャンスメーカーかな?
・ヒットが打てなくても、選球眼で貢献できるタイプ?
長打率(SLG)
長打率はヒットの「質」に注目した指標です。
ヒットでも単打より二塁打、三塁打、ホームランの方が価値が高いので、その分を加味して評価する仕組みです。
計算式:
長打率(SLG)=塁打数 ÷ 打数
ここで出てくる塁打数とは、単打は1、二塁打は2、三塁打は3、ホームランは4としてその合計した値です。
例えば、ある選手が「シングルヒット1本とホームラン1本」を打った場合、塁打数は「1 + 4 = 5」となります。この塁打数の合計を打数で割ることで、1打数あたりにどれだけ大きなヒットを期待できるかがわかります。
当然、ホームランや二塁打の多いパワーヒッターは、この数値がグンと高くなります。
OPSの目安ってどれぐらい?
opsの値 評価の目安
1.000以上 超一流。MVPレベル
.900~.999 オールスター級
.800~.899 優秀な打者
.700~.799 レギュラー選手の平均レベル
.699以下 やや物足りない
OPSで何がわかるの?
簡単に言えば「打者としての総合力」です。
イメージは、とてもシンプルです。
- 出塁できる選手は、チームにチャンスを作ります。
- 長打が打てる選手は、その一振りで得点を生み出します。
そして、OPSとは、この両方の能力を兼ね備えているかを測る指標。
つまり、「チャンスも作れて、得点もできる選手」こそがOPSの高い『強打者』というわけです。
おまけ:打率.197と.372、でもOPSはほぼ同じ?
ここまでOPS(出塁率+長打率)について解説してきましたが、この指標の面白さがよくわかる、非常に対照的な2人の選手をご紹介します。
一人は、現代MLBを象徴するロマンあふれるスラッガー、カイル・シュワーバー選手。 もう一人は、日本が世界に誇る伝説の安打製造機、イチロー選手です。
まずは、シュワーバー選手の2023年の成績と、イチロー選手がメジャーリーグのシーズン最多安打記録を更新した2004年の成績を見比べてみましょう。
カイル・シュワーバー (2023年) | イチロー (2004年) | |
打率 | .197 | .372 |
安打 | 115 | 262 |
本塁打 | 47 | 8 |
四球 | 126 | 49 |
三振 | 215 | 63 |
出塁率 | .343 | .414 |
長打率 | .474 | .455 |
OPS | .817 | .869 |
いかがでしょうか? 打率だけ見れば、.372のイチロー選手が圧倒的に見えますよね。しかし、総合的な攻撃力を示すOPSに注目すると、.817と.869。驚くほど近い数値だと思いませんか?
ここにOPSを理解する面白さが隠されています。
スタイル①:長打力と選球眼で稼ぐ「シュワーバー型」
シュワーバー選手の打率.197だけを見ると、少し物足りなく感じるかもしれません。しかし、彼の真価は「長打力」と「選球眼」にあります。
彼のOPSの内訳を見ると、47本塁打がもたらす長打率(.474)が非常に高く、打率の低さをリーグトップクラスの四球(126個!)」でカバーして出塁率(.343)を確保していることがわかります。
三振は多いものの、「ヒットが打てなくても、四球でしっかり出塁し、一発が出れば大きい」というスタイルで、チームの得点に大きく貢献しているわけです。
スタイル②:圧倒的なヒット数で稼ぐ「イチロー型」
一方、2004年のイチロー選手は、まさに異次元の存在でした。シーズン262安打という不滅の金字塔を打ち立て、打率は驚異の.372。
彼のOPSは、この圧倒的なヒット数によってもたらされる高い出塁率(.414)が土台になっています。本塁打はシュワーバー選手に及びませんが、ヒットを量産することで長打率(.455)も高い水準を保ちました。
とにかくヒットで出塁し、チャンスメイクをする。まさにアベレージヒッターの究極形です。
まとめ:アプローチは違えど、貢献度は同じトップクラス
このように、シュワーバー選手とイチロー選手は、「ホームランか四球か」というスタイルと、「とにかくヒットを打ち続ける」というスタイルで、バッターボックスでのアプローチが全く異なります。
しかし、チームの得点への貢献度を示すOPSという一つの物差しで見ると、両者ともにリーグトップクラスの素晴らしい打者であることが数字で証明されています。
「あの選手、打率は低いけどOPSは高いな。四球が多いのかな?それとも二塁打や本塁打が多いのかな?」そんな風に選手の個性に注目しながらOPSを見てみると、野球観戦がもっと深く、面白くなること間違いなしです。ぜひ、皆さんも好きな選手のOPSに注目してみてください!
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