選手の”本当の価値”がわかる最強指標『WAR』超入門

初心者ガイド

みなさん、こんにちは!

野球を見ていて、
「ピッチャーと野手、どっちがチームに貢献してるんだろう?」

そんな疑問を感じたことはありませんか? その、あらゆる要素を統合して、選手の価値を「勝利」という一つの単位で示してくれる指標が、今回ご紹介する『WAR』です。

1. そもそも『WAR』って何?

WARとは、“Wins Above Replacement” の略です。 日本語に直訳すると「リプレイスメントレベルの選手に比べて、どれだけ多くの勝利をチームにもたらしたか」という意味になります。

…と言われても、ピンと来ないですよね。 もっと簡単に言うと、WARが答えようとしているのは、こんな問いです。

「もし、そのスーパースター選手の代わりに、誰でもすぐに連れてこられる”控え選手”が出場したら、チームの勝利数は1年間で何勝ぶん減ってしまうのか?」

この「誰でもすぐに連れてこられる控え選手」のことを、リプレイスメント・レベルの選手と呼びます。WARが「0」の選手が、この基準点となります。

例えば、大谷翔平選手のWARが「+8.0」だったとします。これは、「もし大谷選手の代わりに控え選手が出場していたら、ドジャースの年間勝利数は8勝も減っていたはずだ」ということを意味します。チームにとって、彼がいかに替えの効かない、価値ある存在かが一目でわかりますね。

2. どうやって計算してるの?WARの「材料」

WARの計算式は非常に複雑なので、覚える必要は全くありません。 ここでは、WARという料理が、どんな「材料」から作られているのかを見ていきましょう。

選手の貢献度は、以下の要素をすべて「得点」という単位に換算し、それを最終的に「勝利数」に変換して算出されます。

  • ① 打撃(Batting):ヒットやホームラン、四球などで、どれだけチームの得点に貢献したか。
  • ② 走塁(Baserunning):盗塁や、相手のエラーを誘う走塁、次の塁を積極的に狙う姿勢などで、どれだけ得点を生み出したか。
  • ③ 守備(Fielding):難しい打球をアウトにしたり、強肩でランナーの進塁を防いだりして、どれだけ相手の得点を防いだか。
  • ④ 守備位置補正(Positional Adjustment):キャッチャーやショートのように、守備の負担が大きいポジションはプラス評価、ファーストや指名打者のように負担が軽いポジションはマイナス評価されます。

投手の場合は、「どれだけ相手チームの失点を防いだか」を、球場の違いなども考慮して算出します。 これら全てを統合しているからこそ、WARは選手の総合的な価値を示すことができるのです。

3. WARの「評価基準」を知ろう!

では、WARの数字がどれくらいだと「すごい選手」なのでしょうか? 一般的な評価の目安は、以下の通りです。

  • WAR 6.0以上:MVP候補レベル
  • WAR 5.0以上:スーパースターレベル
  • WAR 4.0以上:オールスターレベル
  • WAR 2.0〜3.0:レギュラー選手として十分な貢献
  • WAR 0〜2.0:控え選手レベル

この基準を知っているだけで、選手の成績一覧を見たときの解像度がグッと上がります。

4. WARの便利な点と注意点

▼ 便利な点
WARの最大のメリットは、ピッチャーと野手、異なるポジションの選手を同じ土俵で比較できることです。「防御率2.50のエース投手」と「30本塁打を打つスラッガー」、どちらがチームにとって価値があるか?という難しい問いに、一つの答えを示してくれます。

▼ 注意点
WARは算出方法が複雑なため、計算するサイトによって、わずかに数値が異なります。絶対的な数字というよりは、「選手の価値を測るための非常に優れたモノサシの一つ」として活用するのが良いでしょう。

まとめ

WARは、一見すると難しそうですが、その意味を理解すれば、選手の価値を全く新しい視点から見ることができる、非常に奥深く面白い指標です。

これからは、お気に入りの選手の打率や本塁打だけでなく、ぜひWARの数値にも注目してみてください。今まで気づかなかった選手の貢献度や、チーム内での本当の価値が見えてきて、あなたのMLB観戦はさらに知的な興奮に満ちたものになるはずです!

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