選手の「IL入り」って何?「故障者リスト」の仕組みを解説

用語解説

皆さん、こんにちは!

MLBのニュースを見ていると、「〇〇選手が、左脇腹痛のため10日間のILに入りました」といった報道をよく目にしませんか?

この「IL(アイエル)」は、“Injured List”の略で、日本語では「故障者リスト」と呼ばれます。選手が怪我をした際に適用される、MLBの非常に重要な制度の一つです。

今回は、この「IL」の仕組みと、チーム戦略に与える影響について分かりやすく解説していきます。

1. 「IL(故障者リスト)」とは?

ILとは、怪我や病気で試合に出場できない選手を一時的に登録から外し、代わりに新しい選手をメジャーリーグ(1軍)に補充するための制度です。

▼ なぜILが必要なのか?
MLBの1軍登録枠(アクティブ・ロースター)は、常時26名と厳しく決まっています。(※9月以降は28名に拡大)

もしIL制度がなければ、怪我をした選手が枠を埋め続けてしまい、チームは常に人手不足の状態で戦わなければなりません。ILは、怪我人が出てもチームが戦力を維持し、公平なシーズンを送るための、いわば「セーフティネット」の役割を果たしているのです。

2. ILの主な種類と期間

ILには、選手の怪我の程度に応じて、いくつかの種類が存在します。よくニュースで聞くのは主に以下の3つです。

  • 10日間IL
    • 対象: 野手
    • 内容: 比較的軽度の怪我(打撲、捻挫、筋肉系の張りなど)の際に使われます。リストに入った日から最低10日間は試合に出場できませんが、その間、チームはマイナーリーグから代わりの選手を補充できます。
  • 15日間IL
    • 対象: 投手
    • 内容: 投手専用のILです。野手より登板間隔が長いため、最低期間も少し長く設定されています。肩や肘の違和感など、投手特有の怪我で適用されることが多いです。
  • 60日間IL
    • 対象: 野手・投手共通
    • 内容: 骨折や靭帯損傷といった、長期離脱が見込まれる重傷の際に使われます。選手は最低60日間、試合に復帰できません。
    • 【重要ポイント】:このILには一つ大きな特徴があります。それは、ILに入った選手を26人枠からだけでなく、球団が保有できる選手の上限である「40人枠」からも外すことができる点です。これにより、チームは新しい選手を獲得・補充するための枠を一つ空けることができ、より柔軟なチーム編成が可能になります。

3. 選手はILからどうやって復帰する?

選手は、ILで定められた最低期間を過ぎ、メディカルチェックをクリアすれば、いつでもメジャーリーグの試合に復帰できます。

ただし、長期離脱していた選手の場合は、いきなりトップレベルの試合に戻るのは困難です。そのため、復帰前には「リハビリ出場」として、マイナーリーグ(AAAやAAなど)の試合に数回出場し、実戦感覚を取り戻すのが一般的です。

ファンにとっては、応援している選手がリハビリ出場を開始したというニュースは、「メジャー復帰が近い!」という嬉しいサインになります。

まとめ

「IL入り」というニュースは、一見するとネガティブな情報に聞こえます。しかし、それは選手が焦らず治療に専念し、チームがその間も戦力を維持するための、非常に合理的で重要な制度なのです。

ILの種類や期間に注目すると、「この選手の怪我は軽いのかな?」「チームは代わりの選手をどうするんだろう?」といった、新しい視点でニュースを見ることができるようになります。

選手の健康とチームの戦略が交差する「IL」の仕組み。これを理解すれば、あなたのMLB知識はさらに深まることでしょう。

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